膝関節の痛みは60歳を過ぎるころから、特に女性に多く見られる現象です。
これは、加齢により骨盤周辺の筋肉が疲労しやすくなることから「骨盤」が歪み、膝に不要な負担がかかることで、膝に病的問題が起きてくるからです。
膝痛の本当の原理が分かっていれば簡単に治るのですが、その原理を知らないために、不要な手当てを受けている中で、次第に抜き差しならない事態に陥っていくのです。
さて、特に女性はという書き出しをしましたが、その理由を説明します。
女性の骨盤は胎児を育てるために「たらい型」の骨盤となっていますから不安定で、骨盤の両側にある「仙腸関節」が亜脱臼を起こしやすいのです。
上図を参考にしてください。
最初に骨盤の模型がありますが、骨盤腔の大きさの違いで、男性の骨盤、女性の骨盤の違いが分かります。
骨盤模型は男性ですから、骨盤腔が狭い感じです。
骨盤腔が男性は「バケツ型」女性は「たらい型」の形をしているのです。
女性の骨盤は「たらい型」で横長、周辺の筋肉も男性に比べて柔らかくできていますから、出産が楽に出来るような体質なのです。
したがって男性と同じように、力仕事ができるようにはできていません。
そして60年70年も「手入れ」をしないで生きていれば、骨盤が歪むのは仕方がないことなのです。
男性の骨盤はバケツ型と云って横に張り出していませんから、安定した骨盤です。
そして筋肉も強靭ですから力仕事に向いているのです。
《仙腸関節が不安定の理由》
先に、女性の骨盤は不安定と述べました。
その理由は骨盤の働きにあります。
下図は骨盤ですが矢印の割れ目の部分が「仙腸関節」です。
この関節の役割は、歩く時に下肢のバランスをとるために働く関節ですが、平面関節といって、ズレ(亜脱臼)易い構造をしています。
それほど重要な関節なのに、そのような構造をしているのは、人類の歴史の中で、四足で歩いている時には、前に足を送り出すだけでよかったからです。
しかし、人間は立ち上がってしまったために、その関節に不具合が生じやすいという宿命を負ってしまったのです。
そして、この部分がズレることで膝関節に不要な負担がかかり変形性膝関節症など、ひざに痛みが起きる病態が出現することになったのです。
仙腸関節にヅレガ起きると、ヅレた側の腸骨が「上方に上がる」ので確認することが出来ます。
上図左は左腸骨が上がっています。骨盤模型の赤線に画板を当ててみています。
真ん中は坐骨ですが、左座骨が上がっています。上がヅレた状態、下が「仙腸関節調整」により、ヅレが正された写真です。
男性の骨盤は横に短いので、歩く時に重心移動が小さくて済みますから、安定性があります。
しかし、女性の骨盤は横長ですから、重心移動が大きくなる分、不安定なのです。
このように神様は、男性と女性の役割を考え、このような骨盤にしたのです。
これは絶対の原理ですから、女性に腰痛・股関節痛・膝痛などが発症しやすいのです。
《 膝関節の解剖図 》
膝関節は立ち上がり身体を動かす際には、必ず使われる関節ですから、簡単に壊れない様に強じんな靭帯(紐)で保護されています。
膝関節を後方から見ます。
大腿骨と脛骨の間に「クッション」役の半月板があります。
膝関節が簡単に前後にズレないように「前十字靭帯・後十字靭帯」が、大腿骨と脛骨に付着して保護されています。
しかし、骨盤の歪みが正されないと膝関節に常に不自然な負担がかかり、次第に膝周辺の組織が緊張して血液循環を阻害します。
血液の循環が停滞すると、膝周辺の靭帯、筋肉への栄養素の供給が低下して組織は弱ります。
《発生する問題点その一》
関節という組織は周りを風船のような関節包で囲まれていて、中は潤滑液で満たされています。
この液のお陰で関節は滑らかな動きが出来るのです。
この液は毎日少しずつ新たらしい液と交換され、液が劣化しないようになっています。
しかし、膝周辺の血液循環が低下することで、関節液の交換が低下して液が劣化すると、骨の間にあるクッション役の半月板が摩擦されすり減ることで、膝がガクガクして痛みが発生します。
《発生する問題点その二》
膝周辺の血液循環障害により、関節液の出入りが障害を受けることで、潤滑液が入ることは出来ても、排泄機能が低下して、俗にいう膝に水が溜まったという状態も発生します。
つまり関節包の風船が膨らんでパンパンになりますから、痛みで歩くのが辛くなります。
《発生する問題点その三》
膝を動かす筋肉の内、「縫工筋・半腱様筋・薄筋」の三つの筋肉は、骨盤から膝関節の下の骨「脛骨」に付着しています。骨盤がズレ歪むことで、この筋肉が萎縮すると付着点の膝関節が不安定になり、痛みが発現します。
また、骨盤の歪みが「股関節」を不安定にさせることで「O脚・Ⅹ脚」という事態も起きるのです。
「膝関節痛の治し方」
整形外科は、痛みをとるために、薬の処方、湿布薬、痛み止めの注射、半月板が傷つけば手術、膝関節の上下の骨に損傷が及べば「人工関節」の手術へと進みます。
骨盤の歪みが膝関節に影響を与えているという考えは存在していません。
整形外科のみで治そうと考えれば、先の手当てを受けることになります。
《治し方その一》
骨盤の歪みを正すことが必須ですから「仙腸関節調整」を受けることです。
早ければ早いほど早く治ります。
痛みの出ている間は、膝に無理のかかる運動や動きは避けるべきです。
《治し方その二》
膝の筋肉が硬くなっていますから、ゴムバンドを使って膝の周りを緩めることを、朝・昼・晩とやることです。緩めた後痛みは楽になります。
この巻き方は強く巻いて二分我慢して解き、二分間を空けて再度巻きます。
毎日続けることで次第に痛みは楽になりますが、骨盤にズレが残っていると中々治りづらいので、治りが悪い時は「仙腸関節調整」と併用することが絶対の条件です。
《治し方その三》
膝関節を治す極意は、膝の痛みのレベルにより違いますが、手術するレベルの方でも一定の効果が出るまでは、毎日でも施術を受けることで「筋肉・靭帯」に弾力が出てくると、痛みは和らいできます。
それまでは「辛抱」することです。
2021年9月下旬 高橋健康指導センター